アセチレンガス

アセチレンは水素と炭素の化合物であり、各種可燃性ガスの中では最も高温で燃焼し、金属の溶接・溶断加工に適し作業性、効率の高いガスといわれている。また、熱処理や有機合成品の製造原料としても使用されている。用途としては主に鉄筋の圧接や金属の溶接や溶断、溶射やロウ付け、鉄板の切断、鋼材の焼入れに使われている。他にも、製缶品の歪みを取るために使われたり、原子吸光分析や炭素化合物の炭素原料として使用され、カーボンブラックの原料にも使われるなど、幅広い用途がある。

佐藤製作所では、銀ロウ付け、アルミロウ付け、セラミックロウ付け、高温鉛フリーハンダ付け、などの作業にアセチレンガスを使用している。

アセチレンガスは、すべての溶断ガスの中で最も発熱量があり、着火温度の低さ(305℃)のおかげで着火しやすくなっており、燃焼範囲の広さと相まって火炎がコントロールしやすいことから、優れた作業性を持つガスである。またアセチレンガスは、可燃性ガスの中で約3300℃と最高の火炎温度となっている(参考までに、メタンガスの火炎温度は2780℃、プロパンガスは2800℃、プロピレンガスは2900℃、エチレンガスは3000℃)。そのため、溶断ガスとしての性能において最も優れていると言われている。

アセチレンガスは、常温の場合、無色透明の気体であり、ガスの比重としては、空気よりも軽く(アセチレンガスが0.9073で空気が1)沸点はマイナス83.8℃、凝固点はマイナス81.5℃。扱いによっては危険とされているが、溶接容器内に多孔性物質(空間率90%)を詰めた状態で、有機溶剤(アセトン、DMF)にアセチレンガスを溶け込ませて加圧充填されて流通されている為、気相で分解爆発が起こっても、「溶解」された液相ガスにまでは伝わらないように、きわめて高い安全性を確保している。