即戦力採用から若手を育成する会社へ

弊社はここ1~2年の間で、大きな社内改革を行っているところです。といっても、対外的に見えるものでは無いので、外から見る分には余り変化を感じることはないと思います。ざっくりその内容を挙げるとすれば、製造業の基本5S活動、QCDの根本的見直し、人材の育成・採用、事業の選択と集中、などでしょうか。製造業に関わる方であれば、どれも基本的な、ごく当たり前の内容だと思います。

社内改革を私が率先して行っている理由があります。それは、このままの状態では会社を続けていくことが出来なくなる、と強く感じたからです。私が仕事をする上で一番に考えていることが、「会社を永く継続させる」ことです。そのために、色々な部分で抜本的な見直しが必要だと強く感じ、社長や専務と話合いを重ね、今の様な動きをしているということです。勿論、全てが順風満帆にいくわけもなく、今まで何度もぶつかり合いました。そこまでの痛みを感じてまでなぜ見直しが必要だと強く感じたか、ということについては、様々な理由がありますが、本題とずれてしまうのでここでは掘り起こさないこととします。(社内の事情など色々ありますので。。)

一つはっきりとさせておきたいことがあるのですが、これは決して今まで会社を経営してきた社長や専務のやり方を否定している訳ではなく、今までのやり方が通用しなくなったので、今の時代に合った、これからの時代に合った会社経営にシフトしていく必要性が生まれた、ということだけなのです。今までの社長のやり方が間違っていたのなら、会社はもう存在していないかもしれません。そこについては私は毛頭否定する心はなく、むしろ今まで会社を存続させてきたことに感謝と尊敬の念を抱いております。

少し話が逸れましたが、本題に入ります。上記にあるように、社内改革を進めている弊社に起きている大きな変化のうちの一つが、タイトルにあるように、「即戦力採用から若手を育成する会社」になろうとしていることです。

タイトルのままですが、このような会社になることで以下のような効果が現れると思います。(細かく言えばさらに沢山あります)
①「教える」「助け合う」という社風が生まれる
②新しい気付きや技術、事業が生まれる可能性がある
③会社として安心感が生まれる

簡単に概要を説明すると、今までの弊社の方針としては基本的に1人が1つの持ち場に専任として配属され、その職人が何かの理由で退職された場合、経験のある即戦力を再び採用し、同じように配属する、というものでした。それを今後、未経験の若手を採用し、1から教育して多能工として育てあげる、という方針にシフトしていくということです。

そうすることにより、今まで無かった様々な効果が会社に生まれます。これは現に去年からこの方針に取り組んでいて実際に感じていることです。上記の①~③について少し説明させて頂ければと思います。

S__2514964 S__2514966

「教える」「助け合う」という社風が生まれる
まず、根本的にですが、未経験の人材が入ることで、コミュニケーションが圧倒的に増えます。分からないことだらけなので、当然色々なことを聞く場面が増えるためです。さらに言えば、若くて素直な人は、技術を持った年配の方々から特にかわいがられるような印象を私は受けました。(これは絶対とは言えないかもしれませんが。。)弊社以外でも、これから入社する若手の方に、私から一つアドバイスが出来るとすれば、「教えて頂いた事を素直に受け止めて、まずその通りやってみる」ということでしょうか。兎に角、「素直にやる」ということがポイントのような気がします。最初に「言ったことをその通りにやらない」と思われてしまうと、それ以降教える気が失せてしまうと思うからです。話がそれましたが、このようにコミュニケーションが増えると、社内も自然と活気づき、色々なところで助けったり教え合ったりという機会が増えてきます。各々が独自の技術とやり方を持った人たち「だけ」である場合、このような状況は生まれにくいのではないかと思います。現に弊社がそうでありました。

新しい気付きや技術、事業が生まれる可能性がある
これは①に付随して生まれる追加効果だと思いますが、教える側にも新しい気づきや発見が多々あるということです。今まで「当たり前」だと思っていたことを、未経験の人から改めて「なぜ?」「これは何?」と問われると、「あれ?なんだっけ?」となったり、きちんと説明できないケースが意外と多いのです。そこで新しい気づきや発見があることも多々あります。また、未経験だからこそ、様々な角度から物事を見ることができます。それによって新しい手法や、技術の利用方法などのアイデアもどんどん出てきます。それが間違っているかどうかは関係なく、柔軟な発想が出来ることで、新しい技術や事業が生まれる可能性がある、ということが良いポイントだと私は思います。社長や工場長など、長年に渡って仕事をしてこられた方は、多少なりとも業界の常識が染みついてしまっている部分があるようで、そこまでの柔軟な発想をするのは難しいと言っておりました。アイデアと技術、どちらにも良い所があるのは間違いないので、上手く融合していくことが大事だと思います。

会社として安心感が生まれる
これは、社内的にも、対外的にも言えることかと思います。行きつく先は、私が最も大切にしている「会社を永く継続させる」という事に対しての大きなアピールだとも思っております。お客様に対しては、若手を採用し教育しているということを伝えれば、会社を今後も継続し、技術継承にも力を入れていく、という姿勢を示すことに繋がると思います。お客様が持つ不安の1つが、パートナーとなる会社が今後も事業を継続するのかどうか、技術を保てるのか、ということなので、その面に関しては大きなアピールになりますし、同時に安心感を持って頂けると思います。社内的にも、経営陣が皆に、これからも会社を継続していくぞ、技術向上していくぞ、と大きくアピールできるポイントだと思います。

S__2514968 S__655447

他にも、1から教育をすることによって会社の理念や考えを素直に受け入れることが出来る、将来経営を任せられる人材を生み出す可能性が生まれる、より責任感が生まれる、などなど、色々な良い影響があると思います。

採用に関しては、弊社史上初めて、今年新卒を1名採用をさせて頂き、有り難いことに来年度も新卒で入社する予定の学生がおります。これは本当に有り難いことですが、それと同時に次の課題として、有望な若手が永くいられる会社作りにも今後力を入れていきたいと思います。

私にとっても初めてのことが本当に多く、日々新しい発見の連続ですが、新人からも色々な意見やアイデアを聞き、皆が働きやすい会社を一生懸命つくっていきたいと思っております。

この記事を書いた人

佐藤 修哉

1986年生まれ
学芸大学で生まれ育ち、鷹番小学校から中学受験で慶応普通部に
慶応義塾大学理工学部電子工学部を卒業後、大学院に進学
卒業後IT企業を経て2014年に祖父が創業した佐藤製作所に入社
若手社員とのコミュニケーションと2人の息子の世話に励む

東京商工会議所 事業承継対策委員
東京都労働産業局女性従業員のキャリアアップコンサルタント
https://www.josei-jinzai.metro.tokyo.lg.jp/program-introduction/instructor-introduction/shuuya-sato/