2019インターンシップ総括

先週末の打ち上げにて、2019年度の夏季インターンシップが無事終了しました。

都立高専3名、神奈川工科大学4名、湘南工科大学1名
計8名もの学生が積極的に参加してくれて、本当に感謝の気持ちで一杯です。

「日本一の女性銀ロウ付け職人を育てる」

今年のインターンシップは、一つ今までと大きく異なる点がありました。
「初の女性参加者がいた」という事です。

2015年からインターンを始めましたが、これまで過去12名の学生は全て男性でした。
そして今年、初めて女性から応募がありました。しかも3名でした。

採用面で女性からの応募はこれまでも複数件ありましたが、インターンシップでの希望者は初でした。
驚いた事に、女性全員、希望内容は「銀ロウ付けを体験したい」というものでした。

因みに採用においては、既にこれまで2名の女性採用を行っており、非常に、活躍してくれています。
(そのうち1名は嬉しいことに最近男児を出産し、産育休中です!)
今のところ、女性の会社での業務内容は生産管理などの事務系+組立などの作業がメインです。

しかもそのうち1名は、文系の新卒学生でしたので工業系の知識は勿論、全く何もかも分からない所からスタートしていますが
驚くほどのスピードで成長しており、1年たたずに社内は勿論、お客様と仕事のやり取りもしており、素晴らしいの一言です。

話を戻しますが、今回女性がインターンに初めて参加し、現場の作業や銀ロウ付け溶接をしている姿を目の当たりにし、
今まで公にしてこなかった私の個人的な想いが、確信に変わりました。

ロウ付けの仕事は「女性に向いている」ということです。
これまで 金属加工やロウ付け=男性の仕事 という固定観念を周りから強烈に感じていたのですが、その根拠のない業界内常識を覆せるなと感じています。

ロウ付けを実際に体験している様子を見て、出来上がった品の状態を確認し、作業終わりにディスカッションし
これは間違いなく習得可能だとはっきり思いました。今まで女性のロウ付けエンジニアがいなかったのが不思議なくらいです。

弊社の強みである「ロウ付け」という金属の接合技術は、非常に繊細で集中力を要する技術です。
手先の器用さや、高い集中力、見た目に関する美観、などが重要になってきます。

一般的に溶接の仕事の場合は、熱く、危なく、重く、重労働というイメージですが、
弊社が請け負っているロウ付けの仕事は、微細で繊細かつ、手に収まる範囲の小さい品が大部分を占めます。

軽い、細い、小さい、細かい、そういった仕事を多く頂いている理由は、繊細で細かい接合ほど、
「高い技術力が必要」だからです。その分、精度や「見た目の美しさ」などが厳しく求められます。

そういった仕事なので、男性に特化した職種ではなく、女性が第一線で長く活躍できる職種ではないかと思うのです。
日本で(世界で?)ロウ付けを知っていて、実際にそれを行っている若い女性は私が知る限り全くいないので、ライバルもゼロだと思います。

ということが今回のインターンシップではっきりとしました。
また、それに付随して会社もまた変わらないといけないな、とも思いました。

要は、女性が働きやすい工場環境作りをこれから強化していく、ということです。
これは私の新しく力を入れて行う重要な仕事の一つになると思います。

「工場の製造現場=男性」
という根拠不明な固定観念を取り除き、閉鎖的な業界イメージを変えていきたいと思います。

と、ここまでは女性に特化した内容になってしまいましたが、今回のインターンシップは男性の学生達も
今までに引けを取らず素晴らしい学生が集まってくれたと思います。

インターン中の現場作業に主体性を持ってに参加することは勿論ですが、担当者以外とも積極的にコミュニケーションを取り
分からないことはどんどん質問し、インターンプログラムや会社に対しての改善案なども沢山出してくれました。

それと、これは完全に私の主観になってしまうのですが、一緒に居て楽しく、人として気が合う学生が多かったです。
1週間4名で2週に分けて行い、先に終わった学生が2週目の打ち上げにまた参加しに来てくれたのはうれしかったです。

合う合わないは主観なので、相手や他の社員がどう思っているかまで分かりませんが、これは非常に重要なことだと思っています。

なぜかといえば、多くの時間を共にする同じ会社にいるメンバーが、どういう人なのかによって人生の質が決まってしまうと思うからです。
特に、中小企業は一人一人との関わりが深く、必ず全員とコミュニケーションを取る必要があります、避けて通れません。

大企業と異なり、特定の人とだけコミュニケーションを取るという事が出来ないので、そこに居る人と合うかどうかは重要です。
しかし私は、社員全員でコミュニケーションを取らなければならないことは、中小企業のメリット、良いところだと思っています。

理由は簡単で、プラスに働けば一致団結、圧倒的なスピードを生み、本当に安心できる家庭のような環境で仕事をすることが出来るからです。
逆に、ここがうまくいかないと、大きなマイナス効果を産み、不快な人とも常時一緒にいないといけなくなり、仕事もうまくいきません。

なので、弊社のような少人数でチームワークを武器に仕事をしている会社は、一人一人の人間性、合う合わないが重要なのです。
いくら優秀と言われようが、才能があろうが、チームの輪を乱す可能性がある人と一緒に仕事をすることは出来ません。

因みに、インターンシップを経て採用を行う場合のメリットはここにあると思っています。

会社と学生が、実体験を通じて「双方で、合う合わないを考えられる」
これは非常に大きなことで、入社後にこんなはずじゃなかった、という後悔やミスマッチが激減します。

また、今回学生の世話をしてくれた弊社の若手メンバーにも非常に感謝しています。
彼らは、上記に書いたように、インターンを経て入社してくれたメンバーなので会社の事がよく分かった上で入社してくれました。

今回は彼らがインターンのプランを考え、先輩を巻き込んで成功まで導いてくれました。
私が考えるより、彼らの方が良いアイデアやプランが出るというのは最初から分かっていました。

インターンを学生の時に体験しているので、インターンに来る学生の感覚が分かる。かつ学校が同じ場合は何を学んでいるかまで分かる。
これは来る学生からしたら安心する要因になりますし、実際に学生からのフィードバックでも先輩がいたから安心して参加が出来た、という感想が多いです。

それにしても、期待以上の仕事をしてくれたと思っています。
日々の業務をこなしながら、インターンのプランを考え、実際に対応する、というのはハードだったと思いますが、よくやってくれました。

佐藤製作所が、人づくりに力を入れていることを十分に理解してくれていると思います。
今年は、特に会社全体がそういう方向に動いているように感じており、社員皆が協力してくれている事に対しては感謝の気持ちしかありません。

私は、良い人を集め、社員が皆長く安心して、気持ちよく働ける環境を作ることで、それに恩返ししていければと思っています。
インターンに参加してくれた学生、メイン担当した佐口高橋、社員の皆様、山崎メッキの方々、須田塗装の方々、本当にありがとうございました。

この記事を書いた人

佐藤 修哉

1986年生まれ
学芸大学で生まれ育ち、鷹番小学校から中学受験で慶応普通部に
慶応義塾大学理工学部電子工学部を卒業後、大学院に進学
卒業後IT企業を経て2014年に祖父が創業した佐藤製作所に入社
若手社員とのコミュニケーションと2人の息子の世話に励む

東京商工会議所 事業承継対策委員
東京都労働産業局女性従業員のキャリアアップコンサルタント
https://www.josei-jinzai.metro.tokyo.lg.jp/program-introduction/instructor-introduction/shuuya-sato/