私が採用や人材育成に力を入れる理由と、それをする上で大切だと思っている事②

教育を行う上で大切だと思っている事。

私は「人材教育」を、会社の中で最も重要な任務の一つとしています。
極端に言ってしまえば、会社は永続する「教育機関」であるとも思っています。

その理由はシンプルで、会社の価値や仕事の質、一緒に働く仲間が気持ちよく働けるかどうか、
とどのつまりその人が幸せに働けるかどうかは、そこで働く人達によって決定すると心の底から信じているからです。

逆に言えば、会社のネームバリューや規模によって会社の価値は決まらない、と思っています。
これは私が中小企業の経営者だから言っている訳ではなく、会社や仕事と真摯に向き合い考えてきた結果、今そう思っています。

また中小企業は、人材教育を行う場に非常に向いていると思います。
下記のような理由から

・皆が視界に入る場所にいるので、上司が部下の仕事を見守る事が出来る。
・困ったときにすぐアドバイスをもらう事が出来る。
・業務の幅が広いので、チャレンジする姿勢があれば様々な経験をすることが出来る。
・顧客との接点が非常に多い。
・仕事全体の流れが分かるので、自分が何の仕事をしているのかイメージし易い。

今年新入社員が2名入社し、より一層教育に力を入れてきた結果、
会社全体に生まれた非常にポジティブな空気を肌で感じている事もプラスに働いています。

良い人が集まれば、会社が良い雰囲気になり、良いお客様が集まり、良い協力会社様が集まり、良い会社になる。
このサイクルを生み出すことが自分の大切な仕事の一つかと思っています。

教育といっても多岐に渡り、会社ごとにその内容や方法、マニュアルテキストの有無など千差万別なのでそこの深堀はしませんが、
私が特に重要視しているのはスキルや技術ではなく「人間力」の部分です。

、、、とここまでは前回書かせて頂きましたので、今回は教育を進めていく上での「進め方」について
私が思っている事を書きたいと思います。

 

結論から挙げると、下記の3つのキーワードになります。
「自分で考えさせる」、「任せる」、「フィードバックする」

①「自分で考えさせる」
これは仕事については言わずもがな、自分で考える力は、人生においても非常に重要な事だと思います。
特に近年は何事も多様化しており、お客様も協力会社様も社員も、今後さらに多様化していくでしょう。

多様化する社会の中で大切な事は、あらゆる事柄に対して柔軟に・冷静に考えて対応することだと思います。
その為には、その都度立ち止まって自分で考えて行動できる力が不可欠かと思います。

仕事も人生も、最終的には自分との闘いで、自分で切り開いていくしかなく、
誰かの指示やマニュアルが無くても、その時の状況を理解し、自分で考えて行動できる力こそが重要で、それを身に着けてほしい。

私は、立場上皆の前で話をする機会が多くありますが、会議や研修の場面でもあえて極力、口数を少なくするよう
自分で強く意識しております。これによって誤解を招いてしまうことも多々あるのですが、明確な意図があって行っています。

意図は勿論、考える力を皆につけてもらう為です。(2つ目の理由は、皆の考えや意見を沢山聞きたいからです。)
具体的に私がとる行動は、答えを言わない、具体的な指示を出さない、どう思うか質問を投げ続ける、です。

課題やテーマ、実際に起きた問題を取り上げて、皆に問題提起する所までが私の役割で、
その後、原因・再発防止策や、具体的な作業指示やアイデアは一切言わず、皆に考えてもらい、それをただ傾聴します。

そして、皆から出た意見やアイデアが良ければそのまま採用し、行動計画や指示も私の一存でなく皆で考えたものを採用します。
それが例え結果として失敗しても、学びとなり次の糧になります。これが非常に大切なことだと思っています。

兎に角、各自が主体性を持ち、柔軟に、「自分で考えて行動する力」を付ける為に、行っています。
私が、特に強く意識しているのは、会議や研修を、独演・講演・演説にしない事です。

上司1人だけがひたすら話て終わる、という会議では、話を分かっていない人をどんどん置いて行ってしまい、
皆の意見やアイデアを吸い上げる場面もなく、結果上から一方的に出された指示通り動く、という結果になります。

また、仕事の進め方や作業指示、マニュアルなどを私から一方的に伝えて終わる、ということも絶対にしません。
やる事だけ、望む結果のみを明示し、そのルートは完全に任せています。各々で考えてもらっています。

そうする理由は簡単で、自分で考える癖を付けてもらう為です。
答えや指示を与えられ続けた結果として、指示やマニュアルが無いと動けない、新しい事にトライ出来ない人間になってしまうからです。

因みに、上記はあくまで教育や会議においての話で、経営上の意思決定等についてはトップダウンスピード重視で行う場面もあります。

②「任せる」
これは言葉の通りで、信頼して最後まで仕事を任せるということです。
年齢や役職は関係なく、社員自ら考え決めて行動したことに対し、私は信頼してただ見守ります。

任せる、という言葉の定義が難しいのですが、私にとって「任せる」とは
彼(彼女)なら出来ると心から信じ、ゴールを伝え、頼み、後は最後まで見守る、ということかと思います。

任せる時に、私が重要だと思っている事がいくつかあります。

・出来ないと決めつけない
・本当に出来ると心から思う
・途中でこちらから意見を言わない
・皆の前でダメだしをしない
・否定しない、けなさない
・答えや指示を出さない
・丸投げせず経過確認をする
・質問を受けた時だけ、自分の考えやアイデアだけをアドバイスする、、、、など

いくつか挙げましたが、その中でも特に重要な事は、こちらから「出来ない」と決めつけない事だと思います。

一概には言えませんが経験値が高いベテラン程、難しい仕事は若手にはまだ出来ない、まだ早い、無理だ、と言いがちですが、
私は真逆の考えで、若手ほど積極的にトライさせるべきだと思っています。結果、上手く出来てしまうことも多いです。

私の方針は

・失敗を恐れずトライさせる
・決められたやり方やマニュアルに一切こだわらない
・アイデアをもらったら即実行
・会社にとって致命的なダメージになりそうな事以外は前向きに投資する
・計画を細かく練る前に行動する

といった事を優先にしています。

若手は、物凄いスピードで成長します、色々な事が短期間で出来る様になります。
また、良い意味で頭の中がまだクリアなので会社の中の様々な事に気づき疑問を持ちます。

その中に非常に良いアイデアが埋もれているケースが多々あります。
会社が今まで当たり前だと思ってやってきている事が、効率が悪いやり方だった、ということも稀ではありません。

こういった若手の成長、若手からの意見、アイデアが、会社にとっての宝であり、仕事を任せることでそれが生まれる。
これからの佐藤製作所は若手がどんどん躍動出来る会社にしていきたいと強く想っています。

出来ない、と決めつけて簡単な仕事ばかりさせるのではなく、少々難しい仕事や新しい仕事にどんどんトライさせる
そして彼らはそれが出来るんだ、と上司が疑うことなく信じる事が大切だと思います。それは伝わるからです。

結果として失敗しても、それが糧となり次に活かせる。失敗や経験をしないとやはり成長のスピードは劣ります。
言い換えれば、致命的でない失敗を数多くさせる為に、意図的に困難な仕事を沢山任せています。

私はそういう意図で様々な仕事を任せています。少々無茶ブリな時もあるかもしれませんが。

余談ですが、私は良くも悪くも自分一人では何も出来ない人間と自負しており、今まで散々周囲の方々に助けられて来たという強い実感があり、自分がやるよりは絶対上手くできるだろうと心底思ってしまう所があることも、上記のような考えに至る理由かもしれません。

③「フィードバックする」
これは、仕事を丸投げして終わりにしないということです。
それを行う為に、途中経過を知る事や、日々の観察、コミュニケーションが必要になります。

私が特に意図的に行っているのは、こまめに状況を「自分の目で確かめに行く」事です。
言葉や日々の報告で伝わる事もありますが、目で現場を見るという事が1番状況を理解でき、的確なフィードバックに繋がると思っています。

なので、必然的に社内にいる時間が増えてしまいますが、それこそが人材教育に必要な事だと思いますし、
何より中小企業だからこそこれが実現可能であると思っています。

中小企業は、現場が近く、いつでも誰でも社内全体の状況が知れることが強みの一つです。
それによって情報共有が上手くいき、意思決定のスピードも速まり、人と人との関わりが深くなる。

その強みを活かすべく、中小企業だからこそ出来る人材教育を考える。
人と人との距離が近く、ビジネス全体の流れも知れる、お客様や協力会社様との接点も多い、こういった部分を存分に活かしています。

フィードバックの際にも、基本的には任せる時と同様に否定やけなすことをせず、上手くいったポイントはアドバイスし、
改善点を自分で考えてもらい、次に活かす、というサイクルで、こちらからこうしろああしろという命令は一切しません。

それで十分成長していることを実感できるからです。
また、私以外の社員の方からのフィードバックを頂く、ということもかなり重要で、こちらも協力をお願いしています。

と、上記はあくまで現時点での私の考えですが、ベース部分は今後も大きく変わる事はないかと思っております。
今後、佐藤製作所で教育担当になるメンバーとは、上記のようなことを一緒に考えていきたいと思っております。

この記事を書いた人

佐藤 修哉

1986年生まれ
学芸大学で生まれ育ち、鷹番小学校から中学受験で慶応普通部に
慶応義塾大学理工学部電子工学部を卒業後、大学院に進学
卒業後IT企業を経て2014年に祖父が創業した佐藤製作所に入社
若手社員とのコミュニケーションと2人の息子の世話に励む

東京商工会議所 事業承継対策委員
東京都労働産業局女性従業員のキャリアアップコンサルタント
https://www.josei-jinzai.metro.tokyo.lg.jp/program-introduction/instructor-introduction/shuuya-sato/