私が採用や人材育成に力を入れる理由と、それをする上で大切だと思っている事①

 

会社の存在意義 は 関わる全ての人の人生を豊かにすること
経営者の仕事 は 会社を永続させること  だと思います。

佐藤製作所は、創業62期目の金属を加工する会社です。
金属加工の方法には様々な種類がありますが、その中でも「ロウ付け」という接合技術が弊社の強みです。

私は、先代の方々が今日まで築き上げてきてくださったこの会社を社長として引き継ぎます。
社長となり事業を継続していく上で、経営者としてやらなければならない、最も大切な事は何かを常に考えています。

それは「人の育成」ではないかと思っています。

最初はやはり金属加工の事業を行っているので、ロウ付け技術力の継承や向上、ノウハウの蓄積かと考えていたのですが、
それはあくまで事業を行う為の、手段の一つに過ぎず、本質からは外れているのではないかと今思っています。

勿論、技術は弊社の売りであり、今、事業を行う上で必要不可欠な要素であることは間違いありません。
それを向上させ、継承していくことに力を入れている事もはっきりと言えます。

しかし森羅万象 諸行無常 と、物事は常に移り変わり変化していく中において、一つの会社が永く社会から必要とされ続け、
事業を安定して継続していく為には、技ではなくそこにいる「人の心や思考」が最も影響するのではないか、と思います。

つまり、あらゆる変化に対応し、柔軟に考え、自ら動き、チームとして助け合い協力し、感情的にならず、相手の気持ちを考えられる、
そういう人として最も大切な「心」を持つ人がいることが、会社の本質で、会社にとって1番必要な事ではないかということです。

そのような社員が沢山いる会社は、絶対に無くならず、ピンチにも強いと思っています。
ここがしっかりした上で、はじめて手段である「技術」が活きてくる。この順番を間違えないように心がけています。

ここ数年の間、弊社の強みである銀ロウ付けという技術は、あくまで現時点で事業を行う手段の一つでしかない。
今後の佐藤製作所に未来永劫、絶対必要かと言えば、分かりません。社会から必要とされなくなった手段は消えます。

しかし、上記のように、人間力のある人材は未来永劫、絶対に必須であるということは断言できます。
変化する社会から、その時に必要とされている事に柔軟に対応し、お客様の気持ちを考えて、チームで助け合い行動する。

極論を言えば、それさえあれば手段は無限に生まれ、会社は良い状態で永続する事ができると思います。
そういった「人間力」を持つ人材を採用し育てる事が、経営に最も必要なのではないか、と考えています。

簡単に述べてしまいましたが、これがタイトルに対する回答の一つということになります。

新卒の素直な社員に対し、会社・私が大切にしている事を丁寧に繰り返し教育していく、これは私が今1番力を入れていることです。
昔から「企業は人なり」と良くいいますが、永く語り継がれている言葉は、やはり本質をついていると改めて感じます。

人間力がベースにしっかりと根付いた会社は、その時代の社会に合った手段をチームで考え生み出すことが出来る。
私はそういう強い根を持った会社をつくりたいと思っています。その為には、1人1人と向き合って話合う事が最重要です。

中小企業は、それが出来ることが強みの一つです。大量採用でマニュアル研修を行うのではなく、少数採用で一人一人と向き合って
お互いの考えをディスカッションし合う。中小企業こそ新卒採用を積極的にした方が良いのではないかとも思います。

 

さて、弊社は新たに今年の4月1日から新卒社員を同時に「2名」迎え入れ、もう2か月が経ちました。
都立産技高専から男子1名、川村女子大学から女子1名、の計2名です。

全社員合わせて12名程の会社に前例のない新人2名同時入社、かつ新卒採用も最近始めたばかりでマニュアルもない、
さらに1名は女子で完全に未経験者(過去採用は高専生の男子1名と女子1名)、との状況でしたので当然かなりの反発がありました。

しかし、私は上記にように会社にとって採用教育に力を入れることが最重要だと考えておりますので
この点については一切譲らず経営陣を説得し、やや強引にですが合意を得て、今日に至ります。

ひとまず2か月経過時点での感覚としては、想像以上に会社にとって良い影響が生まれているなと思っています。
現時点で会社や社員に生まれた相乗効果を、少し挙げてみたいと思います。(あくまで主観です)

・今までいたメンバー(社長や役員含めて)が明るく活き活きとコミュニケーションを取っている
・新人が、新しい気づきを多く提供してくれる
・社内での挨拶や発言が増えた
・来社頂いた方々からも印象が良い
・教える側が勉強になることが多い
・今までなあなあになっていた事に目を向ける機会が多い・・・・などなど

本当に沢山の良い影響を会社に与えてくれています。目に見える成果や数字ではありませんが、
会社に対し大きく貢献してくれており、2人にはとても感謝しています。

私が出来る事は、皆のモチベーションを下げず、働きやすい会社環境を真剣につくっていくことと、
もう一つは、どんな会社に行っても活躍出来る上記に挙げたような「人間力」を持った人に育てることです。

誤解されてはいけないのですが、当然新入社員だけで会社が成り立っている訳はなく、
今まで会社を支えてきてくださったベテラン、中堅、の社員の方々に対しても同じ気持ちを持っております。

日々の仕事に追われてしまうと、上記のような会社環境整備を考える余裕もなく、後回しにされ結果会社は何も変わらない。
ということが多々ありましたので、私はこの点に非常に気をかけており、常に考える時間を取る事を意識しながら日々の業務を行っています。

長くなりましたので、タイトルにある「教育を行う上で大切だと思っている事」は次回書かせて頂こうと思います。

この記事を書いた人

佐藤 修哉

1986年生まれ
学芸大学で生まれ育ち、鷹番小学校から中学受験で慶応普通部に
慶応義塾大学理工学部電子工学部を卒業後、大学院に進学
卒業後IT企業を経て2014年に祖父が創業した佐藤製作所に入社
若手社員とのコミュニケーションと2人の息子の世話に励む

東京商工会議所 事業承継対策委員
東京都労働産業局女性従業員のキャリアアップコンサルタント
https://www.josei-jinzai.metro.tokyo.lg.jp/program-introduction/instructor-introduction/shuuya-sato/