新年のご挨拶と、不安な事

毎週全員で行う会議のひとコマ

昨年度あたりから、有難い事なのだが、不安に思っている事がある。どういうことかと言えば、佐藤製作所が全てうまくいっている順風満帆な会社だと思われている事が、たまにあるということだ。ようは、過大評価されている事があって、本当に申し訳ない気持ちになってしまうのだ。

変に捉えられてしまうと、これまた勘違いで困ってしまうのだが、決して自慢したいとか、褒めてほしいとか、天邪鬼で言っているわけではない。僕自身、本気でそういうことを望んでいない。むしろそういった事を怖く感じるタイプの人間だ。人前に出るのも、正直言って得意ではないし好きでもない。(旧友達は分かると思うが)

単刀直入に言えば、佐藤製作所は会社としてまだまだ、お恥ずかしい状態であるということだ。人様の為になるような活動を皆で協力してやっていきたいという想いはあるが、まだまだ人様にご迷惑をおかけする事も多々ある、未熟な組織である。謙遜している訳ではなく、本当にそうなのだ。またそれは、経営者である僕自身の経営が全然未熟で、力不足であることの証明でもある。

本当に、まだまだ改善する事が、沢山(x1000)ある会社だ、というのが噓偽りない事実である。これは、弊社の社員全員に聞いてもらっても構わないが、本当にそうなのである。特に、今後弊社で働きたいと思って下さるような方々に、特に知っておいていただきたいことなので、しっかり書いた。(過大評価され、誤解したまま、入社してしまう事ほどお互いにとって不幸な事はない為)

具体的な事例で言えば、毎週1回必ず全員で集まって、会社の課題や起きた問題について話し合う会議があるのだが(ブログの「週に一度の全体会議」参照)、ここで毎週必ず、沢山の問題が発生する。ゼロの週は無い。A4が1枚埋まる量の議題が、毎週発生している。むしろ無理矢理1枚に詰め込んでいる位で、はみだす量がある。

議題の内容はそれこそ様々で、製造不良や納期遅延、周囲環境の変化に対してついていけていない事、お客様対応、社内での出来事、モノを無くしたこと、言った事が出来ていなかったこと、道具や治具の管理が出来ていない事・・・などなど、本当に多岐に渡る。(お恥ずかしいですが)個人的にも、有難いことに若手社員たちから沢山のダメだしを頂くので、反省する事ばかりだ。

現状、そのような会社なので、もっと頑張らないとマズイというのが、「事実」である。毎週、僕は全社員の前で、こういったことをクドクドしつこく言い続けているのが「事実」である。(社内では口うるさい嫌なやつと思われている可能性が高く、戦々恐々なのが、僕の正直な本心であります。)

しかし、自信を持って言えることは、そんな状況だけれども、「なんとか前を向いている」ということだろう。3歩進んで2歩下がる、というようなイメージで下がる事も多々あるが、総合してみると、前に進んでいるのではないか、と思っている(願望も含めて)。

そして、若いスタッフが「主体的」に動いている事と、ベテランスタッフが自ら積極的に「若手とコミュニケーションを取る姿勢」を持って仕事をしている、という事も事実だといえる。

但し、繰り返すが、毎日課題、問題が沢山発生し、改善していかなければならないことが山積みの会社である、ということも揺るぎない「事実」である。経営者として、自分の力不足で生じた本当にお恥ずかしい課題も、沢山ある。(失敗したことの方が、遥かに多い)

令和5年の4月から新たに新卒採用の女性が2名仲間になってくれるが、彼女達にも当然それは伝えている。課題山積みの大変な会社であると。しかし、それを「改善していこう」という気持ちを持った仲間がいることも事実で、僕は、これが非常に重要な(素敵な)要素だと思っている。

課題があること自体は、大きな問題ではない。つまり仕方ない事。チャレンジしていけば課題は必ず生まれるからだ。しかし、課題を改善していこう、と前向きに考えられる仲間がいないことは、とてつもなく大きな問題だと僕は考えている。

改善意識が無く、否定的に物事をとらえ、過去の常識にとらわれ、指示がないと動けないチームというのが、最も危険かつ辛い。これは以前僕は体感して、そう思った。どんな状況であれ、改善していこうと前向きに考えて行動できる仲間さえいれば、課題は解決することが出来る。一人では無理なことも。大変な時に、前向きに、協力してくれる仲間がいない事ほど、辛く苦しく悲しい事は無い、と僕は実体験をもとに、そう思っている。

このブログで何度も僕は書かせてもらっているが、僕はそういった考えのベースから、良い仲間を集めることにとても注力している。当たり前だが、仲間集めも、沢山沢山失敗を積み重ねてきている事は大前提だが。そしてそういった仲間がずっと一緒に働ける環境づくりも当然並行して注力している。つまり、僕が一番重要に捉えているのは、人材への投資である。

孤独な状態、一人で全てをやらなければならない状態、何をやっても否定されてしまう状態、チャレンジが出来ない環境、思っている事を言えない環境、がとても嫌なのだ。

話をもどすが、組織として佐藤製作所の課題は山積みで、まだまだ良い会社と言うには程遠いと思っているのが事実だ。そんな状況だが、チームで力を合わせて、何とか前進していこうともがいている会社、というのが今の佐藤製作所の姿だろうと、僕は自己分析している。

・・・ただし(ここは重要)、スタッフがまだまだだ、と言うことでは無い。ここをごちゃ混ぜにしてはいけない。そうは思っていない。「組織」と「人」は分けて考える必要がある。「組織」については、役員や管理者の責任となる。

つまり、組織としてはまだまだ未熟すぎる状態だが、個々のスタッフ達は、手前味噌だが素晴らしく、それぞれが大きな可能性を秘めていると、僕は思っている。そういったスタッフが、佐藤製作所のような無名な中小工場に来てくれた事に対しては、本当に運が良かったと言わざるを得ない。感謝している。また、スタッフが「素晴らしい」と言っている要素は、能力やスキルではなく(ここはまだまだ伸びしろがあるから)、仕事に対する「姿勢」だ。

仕事に対する「姿勢」や「向き合い方」さえ、しっかりしていれば、間違い無く能力やスキルは後からつく。その土台をしっかり持ったスタッフで固められた会社にしたいと、強く思う。

仕事に対する姿勢というのは、ブログの過去記事にも書いてあると思うが、「素直さ」「向上心」「主体性」「協調性」「感謝の気持」といった、「人間性」の面の事だ。そういった「人間性」の部分が無ければ、僕はスキルや能力があっても一緒に仕事をしないと決めている。チームとして力を出せないからだ。人間性のベース、土台の部分は、小手先のテクニックや研修で身に付くものではない、と僕は考えている。

そのベースがしっかりある事が大前提で、それさえあれば、仕事は必ず出来るようになると考えている。成長の度合いは人それぞれだとしても。

また、仕事をしている時間も、人生の貴重な時間を使っているので、極端な話1秒も無駄な時間にしてはいけないと僕は思っている。時間は、何よりも貴重だと、僕は考えている。

その為に、会社にいる間の仕事環境も重要で、嫌な仲間(ストレスが激しい、苦しい)と一緒に時間を共有したくない。仕事をしている間ですら、少しでも楽しい時間にしたい、良い仲間と良い人間関係を築きたい、と本気で思っているので、それを実現する為に四苦八苦している。(新しい取り組みは失敗が9割ですが)

上記のことは何度もブログで書いていると思うが、そんなことで僕は、人をコロコロ入れ替えるのは嫌である。出来ればずっと一緒に同じ仲間と働いていきたいと本気で思っている。だから、仕事だからと諦めてストレスの激しい職場をつくることは絶対しない。当然、長く働きたいなと思ってもらえる会社にすることもセットで考えていく。

お給料を貰うためだけに、苦しんで、ストレスを浴びて、誰とも良いコミュニケーションが取れない環境は、豊かな人生を送る事と真逆の活動だと思っているからだ。僕は、何かをやった時に、成功しようが失敗しようが、それを応援してくれたり協力してくれる人がいる環境が、とても素敵で素晴らしい事だと真剣に思っている。それを実現したい。

社員が辞めたら補填する、中小企業は人が辞めるのが前提、優秀な人は中小企業には来ない、そういったことを周囲から何度も何度も聞かされているが、僕はそれを無視してきた。そんなネガティブな過去の常識が嫌でたまらない。大体そんな常識は、無いと思っているからだ。少しでも、その常識や当たり前を覆すために、これからも新しい取り組みに積極的にチャレンジしていきたい。(失敗が9割ですよ)

色々偉そうに独り言を言っておりますが、会社は問題山積み、課題だらけ、来月の売上不安で頭がいっぱい、お客様が離れていかないか毎日心配、でございます。お恥ずかしいですが、それが「事実」でございます。組織はまだまだですが、スタッフは本当に良くやっております。これだけは言わせて下さい。

皆様、今年も佐藤製作所とスタッフ一人一人をよろしくお願いいたします。4月から入社する2名の新卒女性社員もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年末の最終出勤日でのひとコマ

この記事を書いた人

佐藤 修哉

1986年生まれ
学芸大学で生まれ育ち、鷹番小学校から中学受験で慶応普通部に
慶応義塾大学理工学部電子工学部を卒業後、大学院に進学
卒業後IT企業を経て2014年に祖父が創業した佐藤製作所に入社
若手社員とのコミュニケーションと2人の息子の世話に励む

東京商工会議所 事業承継対策委員
東京都労働産業局女性従業員のキャリアアップコンサルタント
https://www.josei-jinzai.metro.tokyo.lg.jp/program-introduction/instructor-introduction/shuuya-sato/